みるくのこと

おうちケア

こんにちは。
今日は、我が家の愛しい家族「みるく」について、少し深く書いてみようと思います。
みるくがリンパ腫と診断されました。病気がわかったときのこと、私の気持ち、そしてこれからのこと。
みるくとの大切な時間を、ここに綴っておきたくて。

病名と向き合った日

ちょうど一年前のことだったでしょうか。みるくの右の口元に、小さなできものがあるような気がして、かかりつけの動物病院で先生に尋ねてみました。

「何にもできてないよ。色素が抜けているだけだろう」触診もしていただき、先生の言葉にホッと胸をなでおろしました。それでもやはり気になって、病院に行くたびに先生に診ていただきましたが、答えはいつも「大丈夫だよ」でした。

ところが今年の5月、「あれ、何かできてるね。大きくなるようならまた見せに来て」と言われ、そこからできものは少しずつ、でも確実に大きくなっていきました。

そして、みるくは11歳半にして、全身麻酔での生検をすることに。「麻酔をかけたまま、もしも逝ってしまったら…」

何度も先生に「麻酔をかけても大丈夫でしょうか?」と尋ねました。悪いものだとわかっても、全身麻酔で検査する意味があるのだろうか。自問自答を繰り返した末、それでも、できものの正体を知ることを決めたのです。朝、みるくを病院に預けてからの時間は、落ち着かず、ソワソワ、ゾワゾワした気持ちでした。夕方、診察室の奥から歩いて私の元に戻ってきたみるくの姿を見て、「安堵」という気持ちを初めて心から感じたのを覚えています。

診断は、「T細胞性リンパ腫(皮膚型/粘膜型)ハイグレード」、つまり高悪性度のガンでした。皮膚型のリンパ腫は進行が遅いものの予後は厳しく、数か月から2年という余命宣告を受けました。

やはりガンだったか、と思いました。ゴールデンレトリバーはガンの発症率が高いので、どこかで覚悟はしていたのかもしれません。歯肉や口内には広がりにくいこと、気道を塞ぐことは稀であること。けれど、腫瘍が大きくなれば出血や感染のリスクが高まり、ある時期を境に全身に転移すること…。思いつく限りの質問を先生に投げかけました。

以前、先代犬のモカを亡くしたとき、最善を尽くしたつもりでしたが、もっと痛みや苦しみを取り除いてあげられたのではないかと後悔が残りました。だからこそ、愛しいみるくには、最期まで苦しい思いや痛い思いをさせたくない。正直なところ、安楽死という選択肢も頭をよぎりました。

大切な命と向き合った選択

治療について、先生は経過観察、外科的手術、放射線、内服治療について、丁寧に説明してくれました。今のみるくが選択できるのは、経過観察と、ステロイドと抗がん剤を組み合わせる内服治療の二つ。内服治療は完治をめざすものではなく、ガンの進行を一時的に抑えるもので、その効果も1〜2か月程度だろうとのことでした。

一日2,000円から4,000円かかる薬を組み合わせると、月に20万円近くの費用がかかるという現実。支払えるだろうか。一回、二回ならなんとかなるかもしれないけれど、家計が苦しくなることは目に見えていました。

こんなに大切な命なのに、お金のことを考えてしまうなんて…。その葛藤から逃れたいと思っても、頭の片隅にはいつも「どうするのがいいんだろう」という問いが浮かんできました。

11歳7か月になったみるく。リビングで、エアコンの風が当たる場所で横になっている姿をぼんやりと眺めます。ここにみるくの命がある。生きている。ただそれだけで、どうしようもなく愛おしい気持ちになります。

“みるくとの過ごし方”を選んだ日

これからみるくとの時間をどう過ごしていくか、何を考えたらいいのかわからなくなっていました。

抗がん剤を飲むことが正解ならば、別の仕事をしてもお金を稼いで、治療を選択したい。でも、それが正しい選択なのかわからなかった。ただ、みるくを愛しいと思うこの気持ちだけは、誰かにわかってほしかったのです。

友人であるトリマーのMariさんに、みるくの病気のこと、そして今の正直な気持ちを伝えました。感情、経済的な問題、みるくの年齢、病気の困難さ。Mariさんは、ひとつひとつ丁寧に聞いてくれました。

話しているうちに、涙が止まらなくなりました。もっともっと生きていてほしい。私のそばにいてほしい。クリクリの目で、私をじっと見つめていてほしい。もっと一緒にいたい。

でも、それは叶わないことなんだ。みるくはいつか、私のもとを離れてしまう。初めてその事実を、心の底から実感しました。そして、私がいま、すべきことが見えてきたのです。

治療をしないことは、「何もしないこと」ではありません。

今のみるくは、食べることができている。歩けている。生きている。 この「今」を大切にしよう。 この「今」を一緒にいよう。 この「今」を、最高に楽しい時間で満たしてあげよう。

感情を切り離し、みるくの年齢や病気の悪性度を冷静に考えたとき、抗がん剤治療は第一の選択肢ではないと判断しました。

私が笑顔でいれば、みるくも笑ってくれる。だから、たとえ作り物でも、笑って過ごそう。そう心に決めました。

揺れ動く私の心

みるくの腫瘍は少しずつ、でも着実に大きくなっています。今日、出血がありました。

このまま止まらなかったらどうしよう。私がいない間に、もし大量に出血してしまったら…。次から次へと、悪い想像ばかりが頭をよぎります。

出血している場所を探し、そっとティッシュで押さえると、みるくの鮮血は少しずつ止まっていきました。

そういえば、私は看護師だったな。モカのときも、迷いなく摘便したっけ。

出血しないように、もし出血してしまったらどうするか。知識を使って対策を考えることはできる。腫瘍を保護するためにワセリンを準備して、出血したときに使える舐めても大丈夫な止血剤を準備しよう。そして、痛みや苦しさを和らげる方法を先生に相談して「緩和ケア」を始めよう。

それでも、ガンが進行していく現実におびえてしまう自分もいます。

どんな選択をしても、後悔がゼロになることはないのかもしれません。だからこそ、今この瞬間、みるくの笑顔を大切にしたい。

愛しいみるくへ

愛しいみるく。

みるくがいない世界なんて、考えられないよ。

みるく、大好きだよ。 

🐾 最後に…

この記録は、私の覚え書きでもあり、
同じように大切な存在と向き合う誰かの心に寄り添えたら…と思って綴りました。

これからも、みるくとの「今」を一緒に歩んでいきます。

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